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安吉山?それとも安姫山?

  • Posted by: jono
  • 2016年3月17日 20:39

雪野山は南東から北西方向に、山々が折り重なるように連なる細長い山です。そしてこの中央付近に女坂と呼ばれる東近江から竜王への山越えの道があります。明確なものではありませんが、時代が進むにつれこの道あたりを境に南東部分を雪野山(ゆきのやま)、北西部分を安吉山(あぎさん)というように別の名で呼ぶようになってきたようです。

下羽田側から見た雪野山の北西部

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下羽田の里山はこの安吉山部分の大半を占めており、尾根筋の整備に加え案内板の設置により、最近では多くのハイカーの方々にご利用頂けるようになりました。

そこで気になるのが、安吉山(あぎさん)の漢字表記です。この「安吉(山)」の表記はこの山中にある寺院の山号に使われている事に加え、山裾には安吉神社も現存します。さらに当地域の歴史を紹介する案内板等でも安吉山、安吉橋、安吉川、安吉氏、安吉郷など「安吉」の表記が数多く見られ、この山に安吉山の名が与えられていたであろう事が容易に推定できます。

女坂脇の案内板。安吉山と呼ぶこの山の山頂に竹林寺城という城があったと記されている。

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女坂付近の天神社の案内板。元亀三年以前はこのあたりがが安吉郷に属していた事がわかる。

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しかし最近になってなぜか、安吉山ではなく安姫山と書かれた案内版が増えてきています。 どうやらこれは、数年前に下羽田のグループが西北端に立てた「安姫山」の案内板が事の起こりのようです。


古い案内板は「安吉山」 新しい案内板は「安妃山」

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案内板の設置(2010年2月14日)

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ある一つの発音に対して複数の異なった漢字が当てられる事は良くあります。 また、同じ山が山向こうでは別の名前で呼ばれるような事も少なくありません。現にこの安吉山の東近江側の山裾にある勝善寺多聞院の山号は安貴山(あきさん)となっており、同じ山を指していますが「安吉」でも「あぎ」でもありません。

これは、東近江側ではこの山が「あぎさん」ではなく「あきさん」と呼ばれ、それに対して「安貴山」の漢字が当てられたという事なのかも知れません。また「吉」よりも「貴」の方が位が高そう?とか、「吉」よりも「妃」の方が上品なのでは?という発想から生まれたバリエーションなのかも知れません。

山裾にある多聞院の山号は、「安吉山」 でも「安妃山」でもなく「安貴山」

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そして最近では、平田地区まちづくり協議会で設置していただいた案内板や 東近江行政組合で作成されたガイドマップ でも "安姫山" になっています。

そこでなぜ下羽田の案内板が "安姫山"  に変わったのか?という事になりますが、それは以下の江戸時代の古文書によりこの山が "安姫山" と呼ばれていたことが分かったからです。

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これは、以前この山の山麓にあった劔神社の社傳です。安妃山鎮座と記されており、この山が 安妃山" と呼ばれていたことが分かります。また、すぐ近くの歌坂の由来についても記されています。ここでは歌坂が安妃山鐘送り坂と称されており、ここでもこの山が "安妃山" と呼ばれていた事が分かります。

古い時代の "阿伎" や "安義" は "安吉" に収束した感がありますが、中羽田や下羽田では近年まで "安貴" や "安妃" が使われてきた痕跡が残っており、この山の名は "安吉山" であり "安妃山" でもあるといえます。

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